※ご注意下さい!!

懲りずに現代ものです。

前作とは無関係。

元親と元就は幼馴染設定です。

姫は健在(笑)

気になった方はスクロールぷりーず。










幼い時から二人の上下関係は変わっていない。

「見せよ」

命令口調の元就の一言に、元親が片方しか晒していない目を見開く。

唐突な命令はいつものことなので、元親が驚いたのは元就が包帯に隠された片目を見せろと言ってきたことに対してだ。

誰もがその理由を知りたがる中、今まで何も言ってこなかった元就の言葉だからこそ驚きも大きい。

「い、嫌…」

驚きから解放された元親だが、すぐにそう答えていた。

隠し事をされたと感じたのか、元就が少し悲しげな表情を浮かべる。

「なにゆえだ…?」

唯一と言ってもいい友人に、そんな表情をさせたことに元親は慌てたらしく、理由もすぐに答えた。

「気持ち悪いから…」

「…なんだと?」

「きっと元就も、気持ち悪いって言う…」

誰かに言われた言葉が、元親に未だ傷跡を残していると気付いた元就は酷く不愉快そうに

「誰に言われた?」

「……言えない…」

「そいつには見せられて、我には見せられぬか」

それは子供らしい、一過性の焼きもちだった。

嫌われるのが怖いのか、今にも泣き出しそうな元親はそれでも口を開く。

「……家族以外には見せたことない…」

つまりは家族の誰かに言われたということ。

それ以上の追及をするほど、元就も鬼ではない。

ただ、酷く不快な表情を浮かべたかと思うと、すっと表情を無くし

「我は違う」

いつも胸を張っている活発な少年は、この時も自信に満ちた表情で呟いた。

「決してそのようなこと言わぬし、思わぬ」

そして真摯な表情で、ちょっと変わった友人に伝えた。



「見せて友情は壊れぬが、見せねば友情は壊れると思え」



それは少し滑稽な脅しでしかないが、言っている方も言われている方も本気だ。

だが女の子と遊んでばかりで、男の子の友達がいない元親にとっては深刻な問題だったらしい。

大きな目に涙を浮かべ、それが零れ落ちる暇もないほど息を詰めている。

「…分かった」

言ってしまった言葉を撤回できるほど素直ではない元就が、その表情に後悔しているとそんな呟きが聞こえた。

そして顔を上げた元就が目にしたものは…










「お前は何故わざわざそれを外すのだ?」

出かける前に少し準備に手間取った元就は、迎えに来た元親を部屋に上げておいた。

これからすぐに出かけるというのに、元親は部屋に入るなり眼帯を取っている。

「は?いや…お前なら気味悪がらないだろ?」

そう言って元親が指し示したのは、深紅の左目。

「まあな…」

素直でない元就は、むしろ気に入っている、などとは決して口にしない。

上着を羽織る元就の細い背中をじっと眺めていた元親は、やや躊躇ったあと口を開いた。

「なぁ…この間の話…考えてくれたか?」

机の上に用意していた財布を手に取る元就の動きが、一瞬だけ静止する。

だが何事もなかったかのように、そのままポケットへと突っ込んだ。

「…はて?なんのことやら…」

そう言って元親を見上げる表情は、一欠けらの感情も浮かんでおらず逆に不自然すぎた。

忘却を装う割には、意識しすぎだろう。

「……そうきたか」

それが分かっているからこそ元親は心底悔しそうな声で、どこか落ち着きのない元就を見据える。

「仕方ねぇ…何度でも言ってやる…」

どんな羞恥プレイだよ、と呟いた元親の白い腕を、元就は遠慮なく叩く。

「…んだよ…」

「言うな」

実は天の邪鬼な元親が、真っ赤になった元就を前に大人しくできるわけもない。

ニヤリと笑うと、今では軽々と元就を引き寄せられる腕力をフル活用し

「ヤらせてくれれば友情は壊れるが、ヤらせてくんねぇと…」

そしていつの間に身に付けたのか、男の色香を纏わせて



「友達のままだぜ?」



そう唇が触れ合うほどの距離で、囁いた。







たった二つの選択肢は、いつだって二人の関係を再確認させる。



そして二人は、いつだってお互いによって与えられた選択肢しか、選ばない。