久々に帰って来たら、延々とお説教された。
無論、いつまで経っても結婚しないから。
別に、したくないからしないわけではなく、したいけれどできないだけだ。
親の欲目では、息子は文句なしの人間に見えるらしい。
見目もよく、勇敢で優しく、頭も切れ、そして鳥人界の英雄。
そのどれもが、本当の俺を示す言葉足らわぬ。
やはり姉ばかりだから、長男にかける期待も大きいのかもしれない。
そう考えたら、男に惚れてしまった自分は、かなり親不孝なのだろう。
ぼんやりと考えながら、母親の説教を聞き流していたら、不意に会いたくなった。
ちょっとぬけたとこのある、暖かい笑顔に。
「いつか、連れて来るから…」
これは母には晴天の霹靂だったようで、こっちが驚くくらいの表情で驚きを表してくれた。
「当てはあるの!?」
「まぁ…ないとは言い切れないって言うか…」
無理矢理にでも引っ張ってくれば、無碍にはされないくらいの自信はある。
あくまでも、無理矢理なのだが。
その微妙な感情が顔に出ていたのか、少し不安げな面持ちで母が呟いた。
「……分かったわ…必ず、連れてらっしゃい」
「…分かったよ」
母達にとっては、目出度い話ではないけれど。
「いつか」
獣人界の英雄を、何気なく連れて来よう。
その時俺は、どんな顔をしているのだろう?
BACK