[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。
嗚呼、女性の腕は、どうしてこんなにたおやかなのだろう。
どういう流れでこうなったのか、今現在、シンタローはアマゾネスの腕を掴んでしまっている。
いつものようにいびられていて、静止の為に思わず手を伸ばしてしまったのだろうか。
だがその原因よりも、シンタローはその細い腕のせいで、思いを巡らせていた。
聞いた事はないけれど、彼女は女手一つで娘を育て上げたのだろう。
彼女の口から、旦那の話などついぞ聞いた事はない。
子育てはかなり根気のいるものだ。
自分にはやや頼もしい二人の男友達がいるから、まだ彼女よりは楽だったはずだ。
それなのに、あれだけ大変な思いをして息子を育て上げた。
一人で育てた彼女の苦労は、己の比ではないだろう。
ちらりと息子のお嫁さんを思い出す。
よく出来た娘さんだと思った。
年の割りに大人びたところもあって…
何より息子を愛してくれているし…
本当の優しさを知っているし…
「ちょっと…」
掴まれた腕に対して抗議をしようと口を開いたアマゾネスより、シンタローが口を開く方が早かった。
「ミィちゃんをヒーローの嫁にしてくれて、ありがとう」
言葉に含まれたこもごもの想いを、彼女は的確に感じ取ったらしく、暫く驚いたような表情をしていたが
「…ヒーロー君なら大歓迎よ」
そう穏やかな母の笑みを浮かべての言葉に、自慢の息子を想いシンタローも微笑み返した。
「あんたが育てた息子ですもの」
そして何気なく続けられた言葉に、シンタローは瞠目し…
世界中に、この存在を誇るべきだと思った。
BACK