「どこにだって構わない…」
君がいるなら…
そう言うと、君は照れくさそうに微笑んだ。
走馬燈。
それとも目に映る星の動きが、走馬燈のように見えるだけなのか…
そんな言葉が頭をよぎった。
ああ自分は日本人なのだと思ったりもした。
思い出すほどの大した記憶があるわけではないけれど。
思い出せる記憶があるのは、嬉しいことなんだね。
それは記録ではなく、記憶なのだから。
ふいに、恩人の笑顔と声が蘇る。
『将来の夢は?』
ごくありふれた質問に、僕は何と答えたのか…?
『ありません』
たった一言。
今思うと、生意気な子供だったのかもしれない。
恩人が眼鏡越しに、驚いた表情をしていたことも覚えている。
将来の夢を聞かれても、そんなものはないと思っていた。
将来に、希望なんて持てなかったから…
でも、今なら分かる。
希望を信じられた今なら。
可能性を信じている今なら。
そう…
僕は…君になりたい。
僕は君になりたかったんだ。
僕にとっての君のように…
いつか…
いつか…
誰かの、希望に、なりたかったんだ…
今、なら…
君と、星の、中に、いる、今、なら…
君の、微笑みに、包まれて、いる、今、なら…
僕は、誰かの、希望に、なれる、気が、する。
まるで、流れ星、のよう…に……
002side
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