「泰平の世に…お主達は…いられなかったのか…?」
答えは否。
むしろ、泰平の世こそ、彼らが望んだものだったはずだから。
それでも最期の瞬間までは、自らの想いよりも、自らの志に従ったのだ。
それが、二人の絆でもあったのだろう。
もとより家康には理解できなかったが。
「……わしの側で天下を支えよ…」
どんなに耳を澄ませても…
もう、何も、聞こえない。
この後、わずか一年の後に…
彼も、泰平の世の為に散っていった。
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